back 代表理事 相澤英之 のメッセージ
       「地声寸言」
  2017.08.31リリース

第二百六十九回 <社会福祉施設の運営>
 私は、もと大蔵省の主計局に長く在籍して、予算編成の最盛期には土日もなく、一ヶ月で二〇〇時間を軽く超える超過勤務をして来た経験を持っている。睡眠時間もロクにとれないため、食事も固いのものは喉を通らなくなり、予算の詰めの最後の一週間ぐらいは、専ら流動食に頼るという状態を体験して来た。酒五〜六合、卵六つ、牛乳五、六合というのが一日のメニューであった。眼が霞み、肝心の数字も一ケタの暗算を間違うようになってくる。それでも、過労のために死ぬ、という事務員はメッタに現われなかったと思う。
 それはさておいて、算盤に変えて計算機、コンピューターなどが入ってくるようになった現在でも人手不足の現象はどこにも見られるようになって来た。今年も民間では、協定は協定として、秘かに人材を確保しておくのに大わらはとなっていると聞く。日本の人口も全体として年に数十万人も減って来る状態となって」来た。
 私は、地元で千人以上も収容している社会福祉施設の理事長をやっているが、何と言っても一番大きな問題となりつつ、あるのは従業員の不足である。
 給与の面で考えるとか、何とか、厚生省でも対策を真剣に検討しているようであるが、まだこれと言って確かな対策が立っていない。方法としては、外国人の移入と人に代えたロボット導入であろう。
 私は、かつて私立大学の学長として学生数の確保のため自分でも北京に出張して中国人学生の入学を現地の専門機関に協力して貰って、促進し一年、七、八百人の専修学校の学生の入学を確保して、経営上も一息をついた経験がある。
 日本向けの学生の世話をしている会社などが北京でも百ぐらいあるという話であった。中国から来日する学生は当初入学金などで一人七〇万円ほどかかるという話であるが、親戚などあちこちから借金をして来る者も多いという。入学してからレストランのボーイなどアルバイトをして働き、借金を返すだけではなく、家族に送金までする人も少なくなかったので、学校も大都会地が好まれるという。
 いろいろな経験から学生の入学地は都会とし、できれば安い寮などを世話してやればよいと思う。
 日本語で会話、読み書きできれば、中国人相手の日本の商社、日本人相手の中国の商社などアルバイト先は見つかる可能性は高いが、介護士、看護師など国の試験による資格の必要な職種は日本語の試験がなかなか難しいことが障害となっているようである。
 大学の研究助手などならともかく一般のアルバイトにそんな難しい日本語は必要としないと思われるので、条件を緩和してやればよいと思う。
 第二次大戦の時、米国軍の兵士にはお互いに戦友として戦うのに最低限度必要な英語四、五百語を徹底的に教え込むことで充分であるとして、そのためマニュアルを用意していた。後年南アの金鉱など地下深くエレヴェーターで潜った時も多国籍の鉱夫の教育として同じようなことを実施している話を聞いたが、日本でもそれで充分ではないか。
 も一つ働く人の不足を補う方法としてはロボットなどの器具を使う方法がある。重たい人の入浴などを補助するときに便利な手脚の関節などを補強する用具が随分発達してきている。それを出来るだけ使うことも必要であろう。
 要するに介護などに要する人材、用具などを充分用意して、広い意味での人材を補充する工夫が必要であると思う。
 
 


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