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相澤英之 のメッセージ 「地声寸言」 |
2017.07.21リリース |
第二百六十四回 <金融緩和> |
日銀が黒田総裁になってから大規模な金融緩和を打ち出したが、残念ながらさ程効果を秦しているとは認め難い。
何故か。 これからは老人の盲言と思って読んで欲しいが、私は、かねがね金融機関に対するお上の指導監督が行き過ぎていて、これらの機関の自由な活動が妨げられていることもその一因ではないかと思っている。 銀行行政が主として大蔵省から金融庁が分離移行されてから、金融機関に対する管理監督が一段と厳しくなり、細かくなったと思えるが、少なからず行き過ぎなのではないか、と思えるのである。 検査監督には限界がないが、融資について一件一件綿密に監査されれば、ボロが出ることもあろうし、それを余りやかましくやられては、金は貸さない方が叱られなくてよい、というような空気になってはいないか。 担保物件があれば貸します、なければ貸しません、というのは質屋であって、金融機関は例え担保物件がなくても、事業を執行する人間、計画の内容、実現の可能性など充分調査し、よし、何とか行けそうだと思ったら貸したらいいのではないか。質草は信用であって、売れそうな物に限らない。いくら日銀が金融緩和しようとかかっても、箸の上げ下げについてまでやかましく言っていては、効果がなくなって仕舞うのではないか。 低金利はまことに結構であるが、貸してくれなければ、何の役にも立たない。 現在は、金融機関に対する検査、監督はあっても、大蔵省の頃のような金融行政が欠けているのではないか。そうでなければ幸せである。 金融行政も他の財政経済政策と相互に相関連して考えなければならない。もう一度大蔵省に戻すのも一案であるとふと考えるが、今や革新的な行政のあり方として、それも検討してみたらどうかと思うが、如何。 |