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相澤英之 のメッセージ 「地声寸言」 |
2017.02.09リリース |
第二百五十四回 <天下り> |
このところ天下りが問題となっている。今、国会でも取り上げられ、マスコミをにぎわしているのは文科省関係であるが、他の省庁関係でも大なり小なり同じような現象はある、と思っている。
日本人の平均寿命が延長されるに従って、平均的勤務年数も長くなって来ているが、年金など、退職後の収入の道は必ずしも比例的に延びてはいないし、又、平均的な結婚年令が高くなり、要扶養の子の年令も低くなってくると、定年だ、これでやっと長年の勤務から解放されて、ゴルフや何か趣味の遊びでもやれるか、というような具合にはならないのではないか。 となれば、どこかへ勤めなければならない。そういうOBの世話は昔から後輩がやることになっている。なっている、と言って悪ければ、ならざるをえないようになっている。 これは、文科省に限った現象ではない。 実業界では、まあ、そう言っては何であるが、別に珍しいことではないし、いわば日常茶飯事、当たり前のことのようになっている。自分の会社に適当に場所がなければ、取引先にまで爪を伸ばして、人事を押しつけ、お互いに利用し合う。といったような事の実態を詳しく調べた訳ではないが、知らない人は少ないのではないか。 官界関係は権力をもっているから、とくに問題というなら、そう言うことを聞かないでもない。 要は、それによって適正な人事がひんまげられ、特定の分野の人だけが、うまいことをするのは放置できないから、そのようなものは是正して行かなければならないというならわからないでもない。 例えば、今政治家(国会議員)の父兄にはかなり政治家が多い。何代にわたっている人もいる。これらの人は天下りと称されていない。選挙という厳しい関門があるからだろうか。それにしても一世紀近くも一族で議員を続けていても、そのことだけは問題にされず、たかが一代が二代OBが利害関係のある社会に入ったからと言って、眼の色を変えて天下り、と騒ぐのはどんなものか、という気がする。 |