back 代表理事 相澤英之 のメッセージ
       「地声寸言」
  2016.11.02リリース

第二百五十三回 <ホテルの食事>
 一昔前は、大きな会社の社長交替などがあると、広い会場に(東京だと)新橋や赤坂の芸好衆がきらびやかに並んで接待をしてくれたものだが、近頃は全然といってもいいくらいそういう派手な宴会はトンとなくなって来た。銀座の夜の蝶たちに会えるのも、楽しみの一つだったが、そんな会はヤボと思えるくらいなくなって来た。経費の節約にもなり、結構なことでもある。
 しかし、食事は相変わらずである。
 今までの職業柄、パーティを何べんとなく開いてきているので、多少物を言ってもいいかと思うが、大体ホテルのパーティは洋食中心であって、おでんや、ソバなどはあまり出て来ない。
 私は、早目に行ったときは、寿司屋の台の前にいる。一番人気があって、早くなくなるのが握り寿司などである。
 何だか、油っぽい。肉気のものは売行きが悪いし、何が入っているか、よくわからないグラタン風のものも売れ残っている。この手のものの中では、カレーライスなどが結構好まれる。
 私は、急ぐ時は、果物とコーヒーなど飲み物を先にする。割とすいているし、当たり外れが少ない。
 日本は、食物の食べ残し率は世界的にも高いそうである。そう言えば、外国の大使館などのパーティではあまり飲んだり、食べたりすることはない。
 残飯が多く勿体ないと思うのはホテルで、ひょっとしたら、日頃余るようなものを、そして見た眼には良さそうなものを並べるようにしているのではないか。
 大体いわゆるホテルの和食は洋食より不味いところが多い。たまには里芋の煮っころがしやら、すのものでも出したらどうか、と言いたい。
 もっとも、パーティで腹一杯食事をとろうなどと考えるのは品がないので、そう変える必要はないのかも知れない。
 もっとも、ホテルで和食を多くしょうと思ったら、コックから入れ変えなければなるまい。まだ日本にはロクメイカン時代の風習が残っているのかも知れない。日本の国でありながら宮中で日本酒が供されることはあまりなかったようだ。日本酒のうまさを何故外国人に知らせようと思わなかったか。
 
 


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