back 代表理事 相澤英之 のメッセージ
       「地声寸言」
  2016.03.10リリース

第二百三十二回 <「人口消減」危機感>
 二月二十八日附の産経新聞の一面にこの表題の文字が躍っていた。
 昨年十月一日に実施した平成二十七年度国勢調査の速報値によれば、日本の総人口は一億二七一一万人で、二十二年実施の前回調査から九七万七千人減って、大正九年(一九二〇年)の国勢調査の開始以来、はじめての人口減となった。減少率は〇、七%であって、高齢化が進行で死亡者数が大幅に増え、自然減が拡大したと見られている。
 平成二七年の国連推計で各国の総人口を比較すると、日本は前回と同じ十位であるが、二二〜二七年の増減率では人口上位二〇カ国のうち減少となっているのは日本だけだった。人口が増加したのは東京など八都県で東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)は全国の人口の二八・四%を占め、五年間で五〇万八千人増えている。
 市町村別では、全体の八二・四%に当る一四一六市町村で減少、増加数で最も多かったのは東京二三区であった。
 人口減少社会への突入は今までもさまざまな政府調査で報告されていたが、国勢調査による確認は日本史に大きな転換点として記されることになるであろう。
 少子化現象はもうかなり以前から警告されていたことであるが、この調子で人口の減少が続いて行くと、日本の人口は三〇〇年後には四五〇万人、現在の三十分の一近くになってしまうという。
 少子化現象は今後生まれる人が大人になって行くにつれて、一層加速されて行くことは明らかである。
 私は、現在地元の鳥取県である社会福祉施設の理事長をしているが、既に介護されるべき人に応ずる介護する人の確保に苦しんでいる。そのギャップは今後急速に拡大して行くこととなろう。さて、どうするか。
 よく言われていることであるが、外国から人を受け入れるとか、ロボットを活用するとか、さまざまな手段で省力化を進めることは可能であると思うが、限界があることだし、第一基本的には日本人が少なくなって了っては、何と言ったって、日本の力は哀えて来ざるをえない。
 一人っ子政策をゆるめた中国やインドなど今後も人口が増加することが明らかな国々が日本をとり捲いていることを考えると思い半ばに過ぎるものがある。
 少子化対策など一大臣の所管に委せておくべき問題ではなく、内閣を挙げて第一に取り組むべき課題である。その姿勢を先づ明らかにし、声を大にして進めて貰いたい。
 そのために過疎化対策など後回しでもいい。Aの町の人口が増えてもBの町から移るだけのような対策は地方に委せておいてよい。国は全体として人口が増えることに全勢力を集中すべきではないか。
 
 


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