back 代表理事 相澤英之 のメッセージ
       「地声寸言」
  2015.06.12リリース

第二百十回 <日ソ共同宣言>
 鳩山首相が不自由な身体を押してモスコウに出かけ、結ばれた日ソ共同宣言なるものの存在が日ソ間の問題解決に大きな障碍となっていることがどうもよく知られていない、のではないかと思っている。
 北方四島についての第九項の規定は歯舞群島及び色丹島の引渡しについてしか觸れていない。私がソ連の官僚(このことについて責任ある立場にない人達)とこのことを議論をすると、これに書いていないクナシリ、エトロフはそもそも問題外、二島のみが問題と思っている、と言う。それ以外の島の返還を言ったらプーチン内閣も持たないと言う。
 四島のいわゆる実効支配はどんどん進行している。一体政府はどうするつもりなのか。
 も一つは第六項の請求権の放棄である。われわれソ連強制抑留者の団体はソ連が日本との間の不可侵条約を八月九日一方的に破ったことを非難し、謝罪を要求し、又ソ連もその署名国になっているポツダム宣言第九項に違反して、日本将兵を外地から日本に速やかに送り歸すどころか、逆にシベリア奥深く運んで、強制労働に服せしめ、ために抑留者六〇万人の約一割六万人を死なすことになったが、その労働の補償をせよ、と要求をし続けているのである。
 北方四島は疑もなく日本の領土であって、それを終戦後ソ連が強引に武力をもって占領したに過ぎない。言葉は悪いがいわば火事泥である。占領を継続する理由は何もない。あの激戦を演じた沖縄も米軍が返還したのではないか。ソ連が、そして今はロシアがこの四島を日本に返還しない、という理由は何もない。力ずくで、占領して了えば、そしてそれを継続すれば自分のものになる、というようなことがまかり通るようにあれば、世界中の法秩序が崩れて了う。
 世界中の国が参加する裁判所があって、その判決によってことが決まるようなことが出来ればよいといつも思う。今の国連にはそのような機能はない。しかし、将来そのような国際機関が誕生して、各国が参加し、紛争があった場合は裁判で結着するような体制が出来ないものかいつも思っている。人類の夢ではないか。
 
 


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