back 代表理事 相澤英之 のメッセージ
       「地声寸言」
  2014.10.29リリース

第百八十九回 <デノミ>
 デノミについては賛否両論。世間の噂話しにも浮んだり消えたり。どうも議論の周期があるかのようである。
 私は、大蔵省に在籍中からデノミ推進論者であって、とくにデノミを唱え続けて来た畏友故鳩山威一郎参議院議員が亡くなった今は、氏に成佛して戴くためにもデノミを推進したいと考えている。
 平成五年三月二日、自由民主党議員の有志三十六名で「デノミ研究議員懇談会」を発足させたが、推されて私が会長になった。
 会の規約には、「円の対外的感信の高場、換算の容易さによるわが国経済社会の発展、国民意識の国際化の推進などの見地から、デノミの実施に向ってあらゆる角度から調査研究を推進することを目的とする」と定めてある。も少しくだいて言えば、心機一転と副次的ではあるが経済刺激効果も充分考えられると思う。
 私は、大蔵省の理財局長をしていた頃、デノミの実施を真剣に検討していた。時の主計局長は鳩山威一郎氏、大蔵大臣は水田三喜男氏でともにデノミの推進論者であったので、幣制担当責任者として国庫課などにデノミを実施する場合の具体的な作業、段どりなどの検討を命じた。一応の成案を得た。大蔵省の金庫に今も眠っている筈である。
 当時、デノミの範は一九六〇年に実施したフランスにとり、一〇〇分の一のデノミネーション、新旧の紙幣と貨幣の並行流通(無論当分の間)デノミ宣言後一年余りの準備期間を置いて実施などを極め、この方針に沿った準備を進めようとしていた。
 しかし、その後ニクソン・ショック、為替相場のフロート制移行などにより経済界の混乱に遭って見送りとなった。
 第一次オイル・ショック後のいわゆる狂乱物価が収まった七八年前後から再びデノミを実施すべしという機運が盛り上がって来た。七八年一月四日、当時の総理福田赳夫氏が恒例の伊勢神宮参拝の際の談話で「まさにデノミやるべし」と発言された。
 二百数十年の平安の鎖国時代を経て、近代的国家として日本がスタートした明治維新政府の頃一円は米ドル一ドルの為替相場であった。
 今一〇〇円を一円にデノミをすれば、一円は米ドル約一円に当る。丁度いいタイミングでないかと思うが如何。
 
 


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