back 代表理事 相澤英之 のメッセージ
       「地声寸言」
  2013.10.30リリース

第百五十四回 <武器輸出三原則の見直し>
 十月二十二日、朝日の記事の見出しに、右のような字が並んでいた。
 その記事をちょっと引用する。
 
   「武器輸出三原則、見直しへ 初の国家安保戦略原案に明記」
 
   安倍政権は21日、「安全保障と防衛力に関する懇談会」(座長・北岡伸一国際大学長)を開き、外交・安保政策の指針となる初の国家安全保障戦略(NSS)の原案をまとめた。「国際協調主義に基づく積極的平和主義」を基本理念に、武器輸出三原則の見直しを打ち出した。政権は今後、与党の意見も聴き、NSSに基づいて作られる新防衛大綱とともに12月に閣議決定する方針。
 
 武器輸出三原則は、佐藤内閣が1967年に(1)共産圏諸国(2)国連決議で禁じられた国(3)国際紛争当事国またはその恐れのある国、への武器輸出を禁止。三木内閣が76年に事実上の全面禁輸を決めた。その後、官房長官談話などで個別のケースを例外的に認め、2011年に野田内閣が平和貢献・国際協力▽国際共同開発・生産――の範囲内なら相手国と取り決めを結び、輸出を認めるとした。
 
 今回の原案にさらなる見直しを明記した背景には、防衛装備・技術協力を進めて防衛産業の国際競争力を強化する狙いがある。輸出後の目的外使用や第三国移転に事前同意を義務付けるといった「厳格な管理」の規定に防衛産業の不満が強く、こうした点をどう見直すかが今後の焦点となりそうだ。
 
 私は、前からこの三原則をいつまで放置しておくのか、疑問に思っていた。
 武器の輸出によって、外国の戦闘力を増強するようなことは、憲法によって戦争を放棄した国の為すべきことではない、という考え方はわからないでもない。
 しかし、他の国が遠慮なく武器を輸出し、又、日本もアメリカなどから大いに買っているに拘わらず、ひとり、日本製の武器だけは輸出してはならない、という考え方はいささか納得し難いものである。
 日本で作られた武器、というより軍需品の、それも部品の類が知ってか、知らないか、よくわからないが、外国に輸出されて、それが軍の装備品の一部に使われていて問題となったことは少なくない。
 例えば、船のプロペラを切削する工作機械が輸出され、それが軍用として使われているということで、多いに問題となったこともある。プロペラの切削工具など、いくらでも民間の船舶用に使用しうるものであって、たまたま輸出先で軍用に使われたからといって、輸出三原則に真向違反している、などとすることはどうも納得し難い。
 防衛省の装備品の発注にしても、輸出できないため、製造数が少なくなって、多量に同じものを製造する外国に比べて、どうしても単価が高くなる。
 いわゆるロッキード事件の時にも、当時通産省から局長が出向することになっている装備局が対潜哨戒機の国産を支持したのに空幕はアメリカから輸入した方が遙かに安いということもあって輸入を推していたのである。
 当面アメリカと戦争をすることなど考えてもいない防衛省としては輸出で生産箇数を増して、単価を下げることができなければ、輸入の方がいい、と考えている、と思う。
 例えば航空機にしても、戦闘機は問題だとしても、輸送機は民間の航空機とどこが違うのか、これを輸出できるようにすれば、防衛費の削減も可能となってくる。もっともアメリカあたりは、日本の国で航空機を製造することは原則として反対するだろうが、そういつ迄もアメリカ産の兵器にたよっていて、いいもんだとは思わない。
 武器輸出三原則の見直しは是非早急に進めて貰いたいと思う。
 
 


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