back 代表理事 相澤英之 のメッセージ
       「地声寸言」
  2013.06.20リリース

第百四十回 <財投復活論>
 いくら考えても、よくわからないのは財投システムの弱体化、根本的方向としては廃止である。
 自民党の議員として働いていた二十余年間、金融問題にかかわることが多かったが、新人類を中心として、金融界の尻押しのもとに財政制度の解体を狙う運動が力を増してきたように思えた。旗印は民ですべきることは民ではなかったか。民間で果すべき仕事を官が採り上げているという考え方であろう。
 財投資金の財源は郵貯、簡保、特会剰余金が多かった。金集めは関係各省も含めて、別。運用は大蔵省(理財局、主計局)が握っている。
 郵政省四分社化も財投解体と深い繋がりを持っている。私は、最も愚かな行革の一つだと思っていたが、果して現場は混乱、問題多発、又、再編して三分社化になろうとしている。
 私は、財投問題はも一度、内閣の問題として、採り上げて、慎重に再検討の上、再度根本的に見直した方が良いと思っている。
 敗戦後、焦土の中から立ち上がった日本の鉄、石油、造船、鉄道、通信など重厚長大産業の復活、住宅、学校などの施設に復旧に力を与えて来たのは財投資金ではなかったか。その後も産業資金のみならず、中小企業の再生、伸展に向けて各種の金融公庫などからの融資の形で資金を与えられたのは、財政投融資計画に基づく資金供給ではなかったか。格別に担保を徴することなく、待てばまずかならず住宅資金を貸してくれた公庫でどれだけの人が持ち家の暮しを叶えることができたか。
 民間の金融機関は力がついて来た。今や、官の力をそれ程必要としなくなった。民の活動の邪魔にさえなっている、という。
 宜敷い。時代とともに政・官の役割分担が変ってくるのも、明治政府の当初からの在り方一つをとってみても、充分理解できるところである。
 然し、だが然し、である。
 特に最近の金融機関は金融庁の指導のせいもあるだろうが、リスクを取りたがらない。
 最近の大災害の復興資金も、東南アジアその他海外に対する列国と競い合う大型投資にしても、直ぐ政府の積極的な対応と言うことになるようだ。
 私から言えば、だから言ったぢゃないか、ということなのだ。
 近頃、ロシアとの石油開発にしても、インドやミャンマーとの経済協力にしても、政府に対する援助融資の希望は大きくなる一方ではないか。
 メタンハイトレード、NIHへの資金供給、TPPの国内産業対策などなど、政府資金の需要は少なくはない。民間資金は政府の指示では動かない。どうするのか。
 私は、も一度言う。財政投融資の制度をも一度見直すべきだと。
 そして、郵政の資金の自主的運用は、自体上馴れな上、半官的な力は預金の面にこそ働かされてしかるべきものと考えている。遠い将来は無論別として、だが。
 
 


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