back 理事長 相沢英之 のメッセージ
       「地声寸言」
  2008.12.08リリース

第二十六回 <「もろもろの話題について」>
 総額二兆円の規模という定額給付金はもともと公明党が発信源だと言われている。前にも似たようなものがあったが、どう考えてもあまり戴けないバラマキで、もっと有効な金の使い道があるのではないかと思う。
 いくら内需追加が景気対策の要だと言っても、二兆円ぐらいでそう効果があるとも思えないし、第一、貰った国民がそのまま使ってくれるかどうかわからない。
 私は、例えば日本政策金融公庫に出資して融資の思い切った拡充を図った方が景気対策になると思う。とにかく、今は市中の金融機関は異常に金を貸し渋っているから。
 
 字の読み違い、読み方の勘違いなどはいいこととは思わないが、誰にもある話である。かつて、エンゲル係数の低下対策を問われて、その引上げに精一杯努力すると答えた厚生大臣のいたことを思い出す。「スワップ協定」を「スワン協定」と言った野党の論客もいた。一万田蔵相は「道路」を「ロード」と言う癖が直らなかった。「アリューシャン」を「アシュリューシャン」と言ったことも思い出す。「一石二鳥」を「一鳥二石」と言ったり、「百尺下って師の影踏まず」と言った議員もいた。
 
 中国は総投資額四兆元(五七兆円)の景気刺激策を十一月九日に打ち出し、八%成長の確保が目標であるという。景気減速というが、一〇%超の成長がいつまでも続くわけはないと思うし、それを期待することは無理ではないか。しかし、軍事力の増大と結びついて、油断のならない国ではある。
 
 厚労省は医療費の負担抑制のため後発薬の使用を奨励しているという。効果が変わらないで、安価とあれば、もっと積極的に後発薬の使用を進めたらどうか。あちこちに遠慮しながら、物を言っているように見えるのは錯覚でなければよいが。
 
 医師についての麻生首相の発言「医師には社会的常識がかなり欠落している人が多い」は、いかにも不適切である。たしかに、中には世間しらず、白い巨塔に籠って自己満足の医師がいるかもしれないが、そういう現象は他の世界にもあると思うので、とり立てて医師のことをくさすのは妥当ではない。
 
 近頃、麻生首相の発言をすげもなく否定したり、修正したりする閣僚がいるが、いかにも閣内不統一の印象を強く与えるので、総理はそういう閣僚の発言は抑えるか、余りにも目に余るなら更迭をすべきではなかろうか。
 
 道路特定財源の一般財源化をめぐり、麻生総理が一兆円の交付税化を明言したことを受け、自民党道路族が猛反撃を開始したと伝えられている。
 道路族も一概に反対しないで、何にでも使えるのが交付税だし、道路が大切でその整備が急務なら、交付税として交付された財源を極力道路費に充当するように運動したら如何かと思う。又、そうなれば、一般の人にも道路整備のため、なお揮発油税の暫定税率の維持について理解して貰えるのではないか。と思うが如何。
 
 元厚生事務次官の居宅二軒が襲われて三人が殺傷されるといういたましい事件が起きた。  昔から気違いに刃物と言うが、それに近い。普段から奇怪な行動があって恐れられていたとも言われている。
 そういういわば危険人物に対する予防措置は、人権の問題もあって、なかなか採り上げられないが、一人の人権よりも多くの人の人権という観点から、何等かの対策が考えられないだろうか。大変難しい課題だとは思うが。
 
 APECの会議に出席していた麻生首相はロシアのメドベージェフ大統領とリマ市内のホテルで初めて会談した。その席上、大統領は北方領土問題について、「この問題の解決を次世代の委ねることは考えていない」と言明したという。
 たしかに平和条約を早く締結することは戦後六〇年以上も経っている今日必要なことだと思うし、大統領の発言を歓迎したいと思う。
 大統領は、さらに「どこの国でも官僚の抵抗は存在するが、より重要なのは首相の立場であり、首相の善意と意思があれば「解決できる」と述べるとともに「そのような考えは既存の文書から引きださなければならない」と語ったと言う。ただ、既存の文書についての具体的な言及はなかったと言う。
 このところ、抑留問題について、毎年モスクワに出張している私が接触した限りにおいて、外務省や内務省の官僚たちは口を極めて領土の返還などありえないし、万が一にあっても日ソ共同宣言(一九五六年、昭和三十一年)第九項にいうハボマイ、シコタンの二島についてのみであって、それ以上のことは絶対に考えられないし、もし、そこを譲ったらロシア政府がもたないとまで極言する。
 正に、これらの官僚の抵抗を抑えなければ、領土問題は解決すると思われないが、果たして可能かどうか。「既存の文書」というのが、日ソ共同宣言を意味するとしたら、大統領も決して甘い態度を示したとは考えられないのである。私は、抑留補償の問題も併せて解決して貰いたいと思っている。
 これらの問題について、読者諸賢如何に思われるか。
 


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