back 代表理事 相澤英之 のメッセージ
       「地声寸言」
  2017.07.21リリース

第二百六十二回 <公文書の管理>
 公文書の管理をめぐって最近特に議論となっているのは保存期間が各省、各部署などによってまちまちであることである。公文書は過去のものでも、その作成の時期などにもよるが、現在、又将来の政治、行政などの運営に必要となることが多いものもあるし、又国会における大臣答弁の原稿なども、関係案件に関する議論のポイントを知る面でも役に立つものであるから、公文書はできるだけ多く、又、長く保存をしておくべきものだとかねがね思っている。
 そして、長く役所にいた経験からして感じることは、関連した仕事をした係の人々が、大切なものであっても、誰かが持っているだろうと思ってつい破棄してしまうことであって、それはとくに人事異動の際などに起きることである。皆、誰かが残しているだろうなどと考えて、結局、全部の人が破棄してしまうようなことである。
 まして、昔と違って、今はI・T時代であり、データを収納するに必要な物理的なスペイスは昔より格段に少なくなっているのであるし、又、将来、技術的に可能となって行くものと思われるので、私は、公文書に類するものを含めて、役所にできるだけ多くの資料をできるだけ長く保存することを義務付けておくことが出来るし、又、必要であろうと思っている。
 又、公文書の範囲についても各省それぞれの判断に委せるのではなく、内閣に情報局のようなものを設置して、全体の整理、調整をした方がよい、と思っている。
 私は、かつて田中総理からの注文で新政策を考えた時に内閣に情報局を設置し、あらゆる情報を重複がないように、又落ちがないように内閣に集中保管すべきことを取り上げ、総理も賛成であったが、統計局を初め各省庁の強い抵抗もあって見送らざるをえなかった。時あたかも大型コンピューターの利用が実用化しつつある時であった。各省庁の抵抗の理由は、それぞれの仕事と人が削られることに対する反対も大きかった、と思う。
 民間の各事業所から同様な調査、情報の提供の無駄を強いられている、その負担を軽減することも私は考えていたのである。例えば保険年金関係などである。
 近頃、とくに公文書の保管について議論が行われているので、この際内閣官房に審議会を設置して、充分時間もかけて、この問題は真剣に検討して貰いたいと思っている。充分官、民にわたる経費の節約にもなると、思っている。
 
 


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